第22回公演『追憶のタキシーダンサー』DVD
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『踊りましょうよ……どうせ今宵かぎりじゃない』
1940年=昭和15年10月31日、日本全国からダンスホールの灯りが消えました。『国家の非常時に踊ってる場合じゃあないだろう!?』ってことなんでしょうね。翌日の新聞見出は『今宵かぎりのステップ・ダンスホール昨夜は超満員』でして、この日から一年と少しが過ぎると私たちの国は真珠湾攻撃を敢行し運命の扉を開けるのです。 舞台は男たちの欲望が渦巻くダンスホール『滝壺』。ダンスホール最後の夜の物語。男たちを誘う壁に居並ぶタキシーダンサーたちには人には言えない秘密がありました……それでは話が先に進まないので秘密をご披露します。タキシーダンサーたちはそもそも不良少女出身、打ち続く戦乱に飽きた彼女たちの心に宿る魂は日本古来の『トイチハイチ』=在りし日の夢『男装の麗人』を慕うレズビアンであったのです。嗚呼、ナイチンゲールの昔から戦争はレズビアンの揺かごなのです。そんなこととはつゆ知らず、オートマチッックにチケットを吐き出す男たちこそ悲しい時代の兵士でありました。 その夜から幾星霜……たった5年を待たずして大日本帝国は落日の時を迎えるのです。激動の日々にあっても人の営みは現代に生きる私たちときっと大差はないはずです。大方、食って寝てサカって老いて、いつか死ぬ……同じアホなら、踊りゃな損々。 『追憶のタキシーダンサー……永井荷風“問わず語り”より』は戦前戦中をやり過ごした永遠の不良たちに送る『暮しの手帖』です。
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